私の祖母は、お琴で飯を食っていた。お弟子さんがたくさんいて、たくさんの人たちから愛された。その孫が俺だ。そう、俺だ。

ばあちゃんは躾けにとても厳しくて、事あるごとに怒られたのだが、俺が誕生日近くになると優しかった。毎年必ずくれるバースデープレゼント、俺は楽しみにしてたんだ。あれは忘れもしない1987年の夏、俺の誕生日。二人で仲良く手をつなぎデパートへ向かった。

300px-Tsuruya_Department_Store01s55s3200


「欲しい物は決めてきたね?」祖母は言う。
「うん、もちろんたい」俺は言った。

意気揚々と俺は地下へと向かう。そう、お目当てのおもちゃ売り場だ。店員の顔を見るとみんなが俺を待っていたようにさえ感じた。

おう、俺が来たぞ!

確かに俺は、まるで王子のようなたたずまい、貫録さえ見せていたと思う。そこで俺は一つのファミコンソフトをねだった。下調べはばっちりだったはずだった。しかし、俺がそのソフトを買わなければ、あの祖母の悲しい顔を見ることはなかったのだ。  

~続く~